方丈様のつぶやき『便利な生きづらい世の中』

還暦を過ぎ今年六十三歳を迎え、父先代方丈が脳梗塞に倒れた歳になりました。
気持ちはまだまだ若いと思いたいが、確かに肉体的に老いが迫って来ている、、、       
「生老病死」四苦、誰もが生きてる以上通らなければならない苦、
檀信徒の皆々に散々話して来た事では有る。
先代方丈が病に倒れた後、自ら毛筆にて半紙に「不退心」と書き丈室の机の前に貼って居たのを思い出します。
老いと病による身体の不自由さは本人のみぞ知るものかも知れません。
人は誰でも幼い頃から出来なかった事が出来るようになる、身体的能力は年齢と共に向上し成長していく。しかし、ある年齢から年々衰えていく。
出来なかった事が出来るようになった喜び、出来た事が出来なくなって来る哀しみ、肉体的には老い病は通る道、頭では理解している。が、せめて気持ちだけは退か無い「不退心」有り続けたい強い気持ちが有ったと思う。しかし「不退心」と書いた三文字は以前とは違う力の無いものでした。
今私も同じ年齢を迎えた。
「不退心」でも一筆書いて見ようかな、、、?
先日、境内のオンコの木の枝に何と鳥の巣が、、、
調べて観るとはっきりしないが、シジュウカラ?モズ?の様です。
人も通り、他の生き物も来る可能性が有る決して絶好の場所とは思えないが、、、
暫くそっとして卵がかえり、巣立つのを見守ります。
自然災害、詐欺事件、殺人事件、熊出没!
マイナンバーしかり、キャッシュレスしかり、次から次へと便利さを求め使いこなせる若者、一部の人間以外には不便でならない。
正に便利な生きづらい世の中になった。
多少生きづらいかもしれ無いが、鳥には不退心を持って頑張ってほしい。
ご参詣の皆さん、決して探したり、覗いたり、近くに行ったりしないで下さい。
温かい心で見守って下さい。