方丈さまのつぶやき

 猛暑の中に秋の気配

コロナ禍にあって異例の形で行われた盂蘭盆会。私も盆入りと共に満六十歳、還暦を迎えました。
人生には幾度かの節目が有ります。還暦は年齢に伴う体力、気力等々、節目としては特別な気がします。修行時代ある老師が、『青竹は節を作りながら強く大きく育つもの、、』若き修行僧は『日々の修行を怠らず、困難、挫折、迷いと時々の節目を乗り越えて強く大きく育って欲しい、、云々』
とお示しになられた事を思い出します。そして更に『時は待たず』です。
コロナ禍にあって世界中が経験の無い非常事態に有る現在、人として僧侶として何を成すべきか?還暦どころでは無い大きな節目に有り、試される時に有ると、、、
時は待たずです!
自然はどんな世の中に有っても変わらず実直です。
萩の花に秋の訪れを知らされました。間も無く秋の御彼岸をむかえます。
コロナ禍にあって伝統文化の伝承が危惧されて居ります。茶道の御点前、御作法、茶室そのもの、宗教儀式、儀礼、作法等、何百年もの伝承文化が消えてしまうかも⁈新しい生活様式、三密を守る中では正しい同様の伝承は無理?
風に靡くススキを観て、ふと今年の中秋の名月、十五夜は何時かな?と慌てて暦を見ると十月一日でした。開基尼、先代の時代からご本堂の窓際にススキ、お団子、燭、お線香を一本立て、静かに上経します。格子戸越しに眺める中秋の名月に先人方と心を通わせる、、、
高祖道元禅師様の観月のお姿が有名ですが、時が流れ今禅師様と同じ月を眺めて居ると思うと不思議と喜びを感じます。
大変な状況下ですが、小さな喜びを感じる一時を大切にしたいものです。