令和4年1月10日(月祝)
気温がプラス2℃です。この時期としては
とても温かい日和となりました
仏教旗の彼方に測量山を望みます
素晴らしい紅梅の盆栽です。御寺族様が育てられています
今日の法要開催に合わせ開花されています
ご参加者様に春の訪れの喜びをお知らせ下さいます。
殿鐘が鳴らされ、新年初祈祷大般若法要
厄払い特別祈祷法要が始まりました
今日の法要には3名の方丈様がお手伝いに来られ、
当寺の方丈様と共に4名の方丈様にて行われました。
当寺の方丈様の御導師で法要が始まりました
『大般若経』の「折本」を左右や前後に振るようにして転読しています
この転読の際に出る風に当たると、
一年間は無病息災になるといわれています。
太鼓や鐘を鳴らし読経されます
参加者様のご焼香です
新年の無病息災を祈ります
お名前と御祈祷内容が読み上げられています
法要が終了いたしました。方丈様の法話です
コロナ禍の終息が見えないなか、生活や仕事に
色々な制約がありますが、我慢ではなく「辛抱」で
いずれ来るコロナ終息の日に向けて生活いたしましょう
とお話を頂きました
ご参加された檀信徒の皆様
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ご案内です
新年初祈祷大般若法要・厄払い特別祈祷法要
年始の行事 「転読大般若」(てんどくだいはんにゃ)
曹洞宗では正月三が日に「転読大般若(てんどくだいはんにゃ)」と呼ばれるご祈祷を行います。「転読大般若」とは、『摩訶般若波羅蜜多経(通称:大般若経)』の経文を読むことにより、その功徳をもって、世界の平和や各参列者の平安などをご祈祷申し上げる法会のことです。
『大般若経』は、『西遊記』にも出てくることで有名な三蔵法師玄奘(602~664)が、最晩年になってから4年余りの年月をかけて配下の訳経僧たちとともに翻訳した、あらゆる仏典の中で最大規模を誇る経典です。字数は約500万字、全部で600巻となります。
内容は、大乗仏教の空思想にもとづく般若思想を記録したものであり、同経中では、全部で十六の場所において釈尊が法を説かれています。また、玄奘三蔵はこの訳出を終えてすぐに亡くなってしまいましたが、自分の生存中に経典の翻訳が終わったことについて、諸仏や龍天の助けがあったと述べたことから、この経典が国家や民衆を守ってくれると信じられ、「大般若会(だいはんにゃえ)」の成立となりました。なお、「般若」というのは、大乗仏教の菩薩が重んじる「六波羅蜜」という徳目の一つの「般若波羅蜜」のことです。これは、「智慧の完成」を意味します。 日本に於ける「大般若会」の歴史を遡ってみると、703年に藤原京にあった四大寺に天皇が命じて行わせたようで、その後は寺院のみならず朝廷の宮中にも僧侶が出張して行われました。737年になると、奈良市にある大安寺で毎年行われるようになり、中世に至って全国に広まっています。
「大般若会」は、その式の中で『大般若経』600巻を全て読みますが、怖ろしく膨大であるため、当然、全て正しく読む(これを「真読(しんどく)」といいます)のは至難の業です。先に挙げた大安寺では150人の僧侶がこの法会に参加していたようですが、現在の曹洞宗寺院では、少人数で行われる場合も多く、その時には、略して読む方法(これを「転読(てんどく)」といいます)が採られています。
「転読」の方法は、時代によって変遷があり、当初経典が「巻物」であった時代には、題名と、中間と、末尾のみをめくって読んだそうです。その後、現在のような「折本」が出来てくると、左右や前後に振るようにして転読としました(一説には、経文に節を付けて読むことを「転読」とする見解もあります)。この転読の際に出る風に当たると、一年間は無病息災になるといわれています。
では、いったいなぜ経本を読むのでしょうか?それは我々自身が良い功徳を得るためです。『大般若経』を読むと功徳が得られる理由は、経典の本文に示されています。
常に能く此に於いて甚深なる般若波羅蜜多を、受持し、読誦し、精勤して修学し、理の如く思惟し、書写し、解説し、広く流布せしめれば、我等、常に随って恭敬擁衛し、一切の災いをして横に侵悩せしめず。何を以ての故に、此の善男子・善女人等、
即ち是れ菩薩摩訶薩なるが故に。
『大般若経』巻100参照
この言葉を述べているのは、四天王などを始めとした、諸天という仏法の守護者です。彼らは『大般若経』を、受持し、読誦し、学び、内容を想い、書写し、理解し、他人に説くならば、その人をよく守ると述べているのです。よって、我々はこの「読誦」の修行を、「転読大般若」という法要で行っています。
曹洞宗の「大般若会」については、現在横浜市鶴見区にある大本山總持寺を開かれた太祖瑩山紹瑾禅師(1264~1325)が1324年に編集された『瑩山清規』の中に「大般若経結願疏」が収録されていることから、その時代には行われていたことが伺えます。
また、「結願疏」を見ていくと、当時は「信読(真読に同じ)」をしていたことが分かり、相当の時間をかけて法会を行っていたことでしょう。また、広大なる般若の功徳力を捧げる相手としては、『大般若経』に出てくる様々な仏・菩薩などはもちろんのこと、日本中のあらゆる神社の主宰などにも回向しており、その上で、一切の生きとし生けるものの煩悩を焼き、寿命の無限なることを祈り、智慧を得て心安らかに生きることを願う内容となっています。
なお、正月祈祷の法要は、特に「修正会(しゅしょうえ)」ともいわれてきました。「修正」とは「正月修法」の略です。『瑩山清規』では、「修正牌」を掛けて法要を執り行っています。ただし、『瑩山清規』では『当塗王経(観音経)』をお唱えしていたようです。また、「歎仏会」を行うように指示した場合もあって、正月祈祷には様々な形態があったことを伺わせますが、とにかく1年の幸せを祈るのに最適の方法が模索されていたのです。そして、後には『大般若経』を転読する法要になり、『行持軌範』では「転読大般若」と呼ばれています。